トヨタ社員は健康保険料が安い。国保、健保を正しく理解する。

給料明細を見ると、所得税・住民税・健康保険料・年金など、いろいろな費用が差し引かれているのがわかる。ほとんどのものは、収入に応じて平等に支払っている。しかしこの中で1つ、勤め先によって大きく変わるものがある。それは健康保険料だ。今日はそんなお話です(`・ω・´)!

大事なこと。

長いので、先に簡単に結論を書いておくね。

・国民健康保険(国保)と健康保険(健保)は計算方法が大きく違う。
・国保は自治体によって、負担額に雲泥の差がある。
・健保も企業によって負担額に差がある(最大2%くらいの差がある)。
・国保は家族がいたり高収入だったりすると高くつく。
・必ずしも国保が健保より高いとは限らない。
・自営業やフリーランスでも入れる健康保険組合がある。

順不同で適当に書いたけど、だいたいこんな感じ。では本題に入っていきます。

年金はルールが厳格。

この記事の本題ではないんだけど、健康保険料との比較のため、国民年金と厚生年金の違いについて、ざっくりと触れておく。

まず、自営業やパートタイマーなどが加入する国民年金についてだけど、収入に関係なく、毎月の負担金額は同じだ(減免制度はあるけどね)。そして、加入期間に応じて、将来年金が支給される。

正社員などが加入する厚生年金は、収入に応じて負担額が変わってくる。そして支払額に応じて、将来の年金額が決まる。また、支払った費用の中に国民年金の費用も含まれているため、将来、国民年金と厚生年金をダブルで受け取ることができる。

ここで注目してほしいのが、国民年金や厚生年金はルールが厳格であり、支払額や将来の受給額について、企業規模などによる差異はないという点だ。

※ただし企業年金などの制度を事業者側が用意している場合は、厚生年金にプラスして受給できるため、見かけ上の差はある。しかし、厚生年金とは別計算であり、年金という名称ではあるけれど、退職金制度の一部として認識すべきだと僕は考えている。

健康保険は人によって負担額がぜんぜん違う!

前述したとおり、年金は制度ががっちりしている。国民年金か厚生年金かの違いはあれど、基本的にみんな平等だ。

しかし国民健康保険や健康保険については事情が大きく異なる。

国民健康保険料は地域によって全然違う。

退職翌年の住民税、年金、健康保険について全力でまとめたよ。」という記事でも紹介したWikipediaの表をここでも貼っておくね。自営業やパートタイムの人が加入する国民健康保険料は、地域によって大きく異なる。モデルケース1は夫婦+子ども2人で年収400万円(所得260万円)の場合、モデルケース2は独身で年収250万円(所得170万円)の場合を想定して計算されている。

ご覧のとおり、自治体によって負担額にかなりの差がある。たとえばモデルケース1(4人家族)でみると、町田市と広島市で年間40万円近い差がある。国民健康保険に加入するときは、この辺をよく見ておかないと損をしてしまう。

健康保険料も結構差がある。

国民健康保険料が自治体によって異なるのは、結構有名な話だと思う。だけどサラリーマンが加入する健康保険も、じつは結構差がある。

ちょっと古いけれど、おもしろい記事をみつけた。「健康保険の官民格差をどう考えたら良いのでしょうか?」という記事。同じ正社員であっても、公務員や大企業と、中小企業では健康保険料の負担率が違う。

つまり年金であれば、たとえば年収400万円の正社員であれば、大企業であれ、中小企業であれ、支払う金額は同じ。しかし健康保険の場合は、同じ年収400万円であっても、支払金額が違うことになる。少しデータが古かったので、実際に現時点の数字を調べてみた。

全国健康保険協会(協会けんぽ)

おもに、独自の健康保険組合を持たない中小企業が加入しているのが協会けんぽ。ここの料率が1つの基準になると思う。料率は、協会けんぽのサイトで確認することができる。

たとえば介護保険の負担がない場合(40歳未満)、東京なら9.91%。うち半分は事業者負担になるので、労働者が負担するのは半分の約4.95%。

大阪だと10.13%、北海道だと10.22%(実際に労働者が支払うのはその半分)。思ったより地域差はなさそうで、だいたいどこでも5%くらいになる。

独自の健康保険組合

大きい企業になると、自分たちの会社で独自の健康保険組合を運営しているところも多い。健康保険組合連合会のサイトにはこう書かれている。

企業が単独で設立する場合(単一)は、事業所で働いている被保険者が常時700人以上、2以上の事業所または2以上の事業主が共同して設立する場合(総合)については、合計で被保険者が常時3,000人以上であることが必要です。

ちなみに独自の組合の場合、負担割合が50%とは限らず、企業側が多めに負担することが多いらしい。いくつかの企業を見てみよう。

たとえばNTTだと4.56%。協会けんぽの場合、だいたい5%だから、やや低い。

近年話題の東芝は3.68%。4%を切ると、結構な差を感じる。

最後にトヨタ。3%…さすがです。

公務員

何かと恵まれていると噂の公務員はどうだろうか。

まずは国家公務員。適当に検索したら、文部科学省共済組合というのがヒットした。それぞれの省庁で組合を持ってるのか。「短期」の部分が健康保険料にあたるらしい。えっと…4.047%。おぉ、たしかに恵まれてる。

他の省庁はどうなんだろう。いくつか見てみたけど、国土交通省共済組合が特に条件が良さそうだった。長期組合員と短期組合員の違いとか、()内の数字の意味とかがよくわからないけど、とりあえず3%後半。

次に東京都の市町村職員が加入する東京都市町村職員共済組合。「短期経理(短期分)」と書かれている部分が、いわゆる健康保険料らしい。したがって、本人負担は3.99%。下の画像には載せていないけど、事務手数料みたいなの(?)が0.24%ほどあるみたいだから、実際は4.23%。協会けんぽの5%よりは安く、噂は間違いじゃなさそう。

大阪府の市町村職員が加入する大阪府市町村職員共済組合。あれ…5.06%。こちらは協会けんぽとほぼ同じ。同じ地方公務員でも、地域差が結構あるみたいだね。

個人事業主・フリーランス向けの健康保険組合

いつだかにTwitter経由で、フリーランスでも健康保険組合に入れるという話を聞いた。余談になるけれど、参考にクラウドワークスの記事を紹介しておく。

国民健康保険組合は医師や歯科医師、薬剤師、建築土木など同じ業種に就いている人たちを組合員とする組織で、2015年現在、164もの組合が設立されています。フリーランスの場合は「文芸美術国民健康保険組合(文美国保)」が該当するのでチェックしてみましょう。

ということで、文芸美術国民健康保険組合のサイトをチェックしてみると、1ヶ月19,600円とのこと。がっつり稼いでいる自営業の方だと、保険料がぐっと落ちるかもしれない。

健康保険は3~5%と幅がある。

協会けんぽだと約5%、トヨタだと3%。今まで見た中では、約2%の差がある。今回は40歳以上に支払い義務がある介護保険を考慮しなかったけど、これを入れたら、さらに膨らむかもしれない。

この2%の差は、控除がいっさいない収入に直接かかるので、結構重たい。年収400万円なら、1年間で8万円違ってくる。国民健康保険と比べれば、差は小さいけれど、健康保険は掛け捨ての保険みたいなものだから、当然安いほうがいい。

国保が健保より高いとは限らない。

ここまで、健康保険についていろいろ見てきた。一般的には、国民健康保険は、健康保険よりも高いと言われている。ほぼ正解だ。だけど、より正しく理解するために、計算方法の違いもわかっておいたほうがいいと思う。

健康保険については、基本的には支給された給与に対して、直接料率をかければいい。たとえば年収400万円で、保険料の料率が5%なら、年間の保険料は20万円になる(実際は4~6月分の給料で標準報酬月額を決めて…となるので、微妙に異なるけど)。

しかし国民健康保険の場合は、いろんな控除を適用してから料率をかけることになる。細かい計算方法が知りたい人は「保険料の計算をシミュレーションしてみましょう」あたりを参考にしてほしいんだけど、年収400万円の場合なら、所得割については233万円に対して料率をかけることになる。

それを踏まえて、再度Wikipediaの表を見てみよう。モデルケース1は、年収400万円(4人家族)だ。この場合、健康保険では料率が4~5%が多数派なので、1年間の保険料は16~20万円程度になるはずだ。そこで下の表のモデルケース1を見てみると、町田市は約22万円と健闘している。

同様にモデルケース1(年収250万円・独身)の場合を考える。健康保険では、10~12.5万円と推計できる。下の表だと、同じく町田市が強く、10万円ちょっと。これなら国保のほうが安いと言ってもいいかもしれない。

また、「年100万円生活のリアル(4)【税金関係編】」でも書いたとおり、条件は厳しいけれど、減免制度も存在している。

保険料率の推移。

平成28年度健保組合予算早期集計結果の概要(PDF)によると、下図のとおり、企業が独自で持っている健康保険組合の平均保険料率は、上昇し続けている。また協会けんぽの料率推移も同様の動きを示している。

国保なんて、維持できないレベルに到達してそう。今後どうなっていくんだろうね。想像するだけで怖い。

おわりに。

健康保険は、制度が何かとややこしい。しかも自治体や企業によって数字も変わるため、Google先生に聞いても、所得税のような年収別の一覧表は出てこない。だから、どういう根拠で天引きされているか、またその数字が正しいのかどうかを、理解していない人は多いと思う。僕も、特に健保については曖昧だった。

そこで今回、疑問を払拭するため、自分なりに調査して結果をまとめてみた。税金や社会保険は、自分の生活に直結する。ずるいようだけど、知らなきゃ損をするのが世の常。上手に生きていくためにも、まずは正しい理解に努めようと思う。

以上、ゆとり隊長でした(`・ω・´)!


PAGE TOP